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センター長のささやき 第9話

ページID:0106255 更新日:2025年6月10日更新 印刷ページ表示

第9話 いよいよ診療再開です

秋篠宮妃殿下にご説明することに

4月5日
・午後1時過ぎ、工藤先生から電話あり、「秋篠宮妃殿下が4月26日金沢に来られる予定なので、その日は予定をあけておいてください。夕方になると思うが、妃殿下の前で能登半島地震について話してほしい、現地の声が聞きたい」とのこと。「お受けします」とご返事した。午後2時2分、M2.9、震度1輪島市、穴水町。のと鉄道は6日に全線で運転再開予定。七尾駅から穴水駅まで約30kmである。
4月8日
・夜、工藤先生から電話あり、26日午後4時に秋篠宮妃殿下が石川県成人予防センター内の結核予防会に到着。午後3時半にはそこに来てほしいとのこと。夕食もできれば一緒にしたいとのこと。了解とご返事した。
4月10日
・北國新聞社、北陸中日新聞社、日経新聞社から、それぞれ、能登半島地震被災報告書が出版されている。3社とも、被災状況の報告とインフラ復旧・復興をどうするかを主テーマとしている。が、病院・老健・福祉施設の被災対応と復旧については全く記載がない。馳知事は5月をめどに復興計画を立てたいというが、集約的町つくりの中で医療・福祉についての具体的なロードマップを出せるのであろうか? 午前9時3分、 M2.7、輪島市震度1。能登北部4病院では看護学生に奨学金を出して、能登北部に残ってくれることを期待してはいる。が、なかなか応募がない。午前11時45分、M2.6、志賀町震度2。​

​​市立輪島病院の呼吸器専門医と珠洲市総合病院のCR-CNから震災時対応を詳しくお聞きした

4月15日
“石﨑 武志 先生
お世話になっております。
穴水に戻ってこられたのですね。
仮設住宅へ入居とのこと、大変な状況とお察しします。
どうか体に気をつけてお過ごしください。
こちらは少しずつ2次避難から帰ってこられる住民の方が増え、少しずつ患者さんが戻ってきている印象があります。先生の患者さんは基本的に当方が担当させていただいています。カルテ記載がしっかりされていたので、基本的には問題なく対応できていると思います。
先生が来られないことを伝えると残念そうにしている患者さんがいらっしゃいました。
先生の代わりとまではいかないですが、なんとか患者さんが安心して生活できるよう、診療に努めて参ります。震災後は停電になったこともあり多数のHOT患者さんが入院してきました。その後輪島病院の酸素がもつか、わからないということもあり(これは誤報だった可能性があります)、優先的に金沢などの医療機関に転院してもらいました。
正直に言ってあまりにも忙しく、入院してきた患者を転院させるだけで、HOT業者と連絡を取ったりすることはありませんでした。この辺りは来年の呼吸ケア学会で発表することになると思うので、しっかり調べようと思います。病院の医師数は消化器内科や整形外科の派遣がなくなり、全体の医師数は減ってしまいました。看護師さんも減ってしまい、病床数を減らしての対応となっています。
今後どうなるかわかりませんが、皆で力を合わせて切り抜けていくしかないですね。
今後も先生には呼吸器診療でご相談させていただくことがあるかと思いますが、何卒お身体に気をつけて、無理をなさらぬようお過ごしください。
市立輪島病院 内科
川﨑 靖貴”
4月17日
“能登北部呼吸器疾患センター
石崎先生
ご無沙汰しております。連絡が遅くなってしまい申し訳ありません。
水道の復旧が全国からの支援により、改善してきたこともあり、少しずつ住民の方が戻って来られています。ですが今も珠洲病院は震災前の半分程度の外来患者数ですので、病棟の入院患者数もかなり少ない状況が続いています。
戻って来られる方も高齢者の方が戻って来られますが、生産年齢の方は転居された方が多く、水道の復旧が進み、飲食店などの再開や福祉施設の再開には、スタッフ不足による再開が難しいらしいという話を聞きます。復興にはかなりの時間がかかるのではないかと、珠洲で生活している大体の方は、そう感じていると思います。
私は震災当日は休みでしたので、自宅で家族と被災しました。5月の地震とは比べものにならない長く、大きな地震でした。倒壊しなかったので、揺れがおさまって家から出てみた光景は、全く別世界でした。倒壊した家屋、切れた電線、浮き上がったマンホール。
一晩は余震も多く、子供も居たので、翌日の朝に出勤しましたが、その時点では入院患者数はそれほどふえてませんでしたが、(私の勤務している病棟では)出勤出来た看護師は2名だけでした。
2日の夜からHOTの患者さんが、酸素が無くなる。息苦しい。の主訴で入院が続きました。入った患者さんは3名。その他の方は、避難所で過ごされていたようです。その後、肺炎の併発し2名がNPPV装置し、入院された方は全て広域搬送されました。
病院施設には大きな破損はなかったので、中央配管も正常に稼働していました。普段から病床稼働率60%前後の病院ですので、支援が来るまでの間に酸素が枯渇する事はありませんでした。ですが、外来では受診患者が増加したときは酸素が必要な方は多く、酸素濃縮器を、宇野酸素に連絡し設置してもらったと話は聞いています。災害時の対応と備えについて、今院長や内科スタッフと相談しています。あとは、HOTの方はまだ戻って来ていない事が多いです。その他の石崎先生に受診されていた患者さんは、今赴任されてきた先生が対応して下さっています。震災前はあまりありませんでしたが、喘息で入院されたケースも2例ほどありました。病棟スタッフとともに吸入のディバイスの評価や呼吸法を一緒に観察しながら、共にレベルアップ出来るようにやっています。
震災翌日から、病院に入り、病棟スタッフとして過ごしました。自分自身も被災し、精神面もかなりきつかったですが、やはり自衛隊の方や、たくさんの方の支援があって乗り越えているように思います。震災時は、自助、共助、公助といいますが、やはり高齢化が進んでいる珠洲では、これから先は自助が必要ですが、そこがなかなか難しそうではないかと、個人的に感じます。
認定課程に進むときに、私はその人が望む生活をするための支援をしたいと思って、進学しました。今こそ、それをすべき時期なのかもしれません。
刻々と状況が変化している事を、的確に捉えて、必要な支援が何か、出来る事は何かを考えてやって行こうと思います。現状の報告で、長文になってしまいました。申し訳ありません。
ご連絡頂き、本当にありがとうございました。
珠洲市総合病院
M.S.”
4月19日
・穴水病院看護師に聞き取りをした;1月2日は看護師が4人しかいなかった。多くは、病院にたどり着けず。1月1日から、HOT患者が受診、救急室で酸素吸入していた。2人は入院した。1人は転院した。PM8時55分、M3.1、震度1珠洲市、能登町。​

第10話 秋篠宮妃殿下にお会いし、公立4病院の対応をご説明しました に続く